当然のことですが、家屋はいつまでも新築の状態ではいられません。年が経つにつれて、残念ながら少しずつ劣化して傷んでいくものです。
「新築からどのくらい経ったらリフォームすべきなのか」という点について明確なルールなどはありませんが、目安となるものは存在します。
今回は、長く住んでいれば避けて通れないリフォーム工事の、効率的で最適な時期の目安について「築年数ごと」「場所ごと」に確認していきましょう。
築年数ごとのリフォーム時期目安
新築時からおおよそどのくらいで、リフォームは必要となってくるのでしょうか。
また、家屋のすべての部分が同時にリフォームしなければいけない時期を迎えるわけではないですから、どのくらいの時期にどんな箇所のどれくらいの規模の修繕が必要となるかを知っておきたいですね。
築5年経過
新築から5年後くらいまでの時期では、劣化が気になる設備や構造というのはほとんどないものです。そのため、この時期にリフォームするとしたらたいていは「プラスアルファのリフォーム」が多くなります。
たとえば、「庭にウッドデッキを造る」「リビングに壁面収納を造る」「フェンスや塀を造る」といったものが挙げられるでしょう。老朽化したものを交換したり修繕したりというより、生活の質を上げるためにプラスの要素を足すというイメージのリフォームが多い、ということですね。
築6~10年経過
室内のクロスや天井・外壁などでちょっとした汚れや破損が気になる時期です。また、軽微な設備交換(洗面台の鏡交換など)を行うことも多いでしょう。
そろそろ水まわりの設備の汚れや不具合が気になり始めることも増えてきます。まだまだ使える部分も多いのですが、早めにメンテナンスを行うことで結果的に寿命を延ばすこともできるでしょう。
築11~15年経過
浴室・トイレ・洗面台・キッチンといった、いわゆる「水まわり」の設備に、本格的に汚れや不具合・劣化が目立ち始める頃です。湿気も多く、使用頻度も高い場所なので、他の部分よりも早くリフォームを考えなければならなくなる部分なのです。
とはいえ、実際に全く使えない状態になるのはまだまだ先なので、最新式の設備にしたいとか使い勝手の良いものに替えたいとか、積極的な理由でのリフォームも多くなるでしょう。
また、壁紙やフローリングの貼替、外壁や屋根の塗替工事もこの時期に検討したいところです。
築16~20年経過
最初の大規模修繕工事を検討し始める頃です。給排水管や建物の土台など、目に見えない部分の劣化が知らないうちに進んでいるということが起こりうる時期なので、シロアリ駆除なども含めて建物の構造内部も気にして修繕を行いましょう。
築21年~30年経過
築20年を超えると、建物のあちこちが老朽化して「やむを得ないリフォーム」をしなければならない部分が増えてきます。水漏れや故障でも簡単な修理では足りず、大規模な
修繕や設備自体の入替が必要となることも多くなります。
築31年~
ここまでくると増改築が必要となるレベルになってきます。ライフスタイルの変化に伴う間取りの変更・設備の全面入替なども含めて、大規模な修繕工事を検討すると良いでしょう。
場所ごとのリフォーム時期目安
次に部屋別・部位別のリフォーム時期目安について見ていきましょう。こちらは数年を1サイクルとして定期的なメンテナンスが望ましいものなので、築何年という書き方ではなく、「〇~〇年」サイクルとして表記します。
水まわりのリフォーム時期
キッチンのリフォーム時期
リフォーム時期の目安は10~20年ですが、使い勝手に問題を感じるようになってきたら、リフォームを検討しましょう。たとえば排水口をどれだけ掃除しても流れが悪くなってきた、システムキッチンの各所から異音が聞こえてきた、ガステーブルの耐用年数限度が近づいてきた…など。
直さなくても使えるからと放置しておくと、結果的に大掛かりな修繕が必要になったり設備自体を取り替えたりしなければならなくなり、工事の間は普段の生活もできなくなるなどの不都合も生じる可能性が出てきます。キッチンは特に毎日使う場所でもあるので、少しでも不具合を感じたらすぐに対処するよう心掛けておくと良いでしょう。
浴室のリフォーム時期
リフォーム時期の目安は10~15年です。キッチン同様「水まわり」であるため湿気が多く、使用頻度も高いので、カビや汚れ・ひび割れが気になってくることが考えられるでしょう。
また、やはり排水口のつまりや流れの悪さも感じられるかもしれません。
見た目が変わらなくても、衛生面で快適な空間に生まれ変わることが多い水まわり。浴室も確実にそのひとつです。
トイレのリフォーム時期
便器交換の目安は10~20年です。タンク内の部品や配管の耐用年数のことも考えると、これぐらいが交換の目安になるのです。水漏れなどの不具合には、特に気をつけておきましょう。
洗面所のリフォーム時期
目安は10~15年です。水漏れなどの不具合が怖い部分ですが、ほかにも鏡の破損や洗面台の汚れの目立ちなども考えられます。
壁紙のリフォーム時期
目安は5~10年です。少しずつ、確実に汚れやにおいが蓄積していたり、また日に焼けて色が変わっていたりもします。そういった点が気になり始めたらリフォームを考えましょう。
また、壁紙は一部分だけのリフォームではなく、全体的に行うことをおすすめします。新しい部分と古い部分で色や質感が変わってしまうからです。
フローリング・畳のリフォーム時期
フローリングは汚れやへこみが目立ってきたり、踏むときしむ音がしたりするようになったら貼替を検討しましょう。大体10年くらいが目安になります。
畳は3~5年ほどで裏返し、10年くらいで新しいものに替えるというのが一般的です。
こちらも汚れやキズが気になるようなら、もちろんこの限りではありません。
窓まわりのリフォーム時期
リフォーム目安は20~30年です。窓やサッシに不具合があると、隙間風や結露の原因となり、快適な生活から程遠くなってしまいます。
窓ガラスが割れたなどの緊急事態ももちろんありますが、長年の劣化によってサッシが動かない・窓枠が外れているなどの状態になっているときは、リフォームを検討しましょう。
外壁のリフォーム時期
リフォーム目安は15~20年です。外壁は色あせによる見た目の問題だけでなく、ひび割れ・破損にまで至ると家全体に影響が出てくる部分です。
劣化が少ないときは「塗装」することで補修が可能ですが、そのまま放置して劣化が進んでしまうと、「カバー工法」や「貼替」という大掛かりな工法に進んでしまい、費用もかさみます。
不具合を見つけたら、すぐに対処できるよう準備をしておきましょう。
屋根のリフォーム時期
リフォーム目安は瓦屋根で20~30年、金属屋根で10~15年です。外壁同様、劣化が少ないうちは塗装だけで済みますが、それ以上進んでしまうと「葺替(外壁の貼替と同じ)」が必要になってしまいます。
ひび割れや雨漏りを発見したら、すぐに対処するようにしたいですね。
まとめ
リフォームには、最適で効率的な時期というものが存在します。老朽化に悩まされ、実際に不具合や故障が出てしまってからの対処ではなく、常に安全や生活の質向上という観点から、長期的な展望でリフォーム計画を立てたいものですね。